お知らせ 更新: 2015.02.28

オフィシャル勉強会【食 第1回】開催レポート

1月23日(金)、京橋にある中央区立環境情報センターにおいて、「食」の1回目となるEDT 2015 オフィシャル勉強会が開かれました。勉強会は、“食問題のWhat’s Next? 改めて問う、未来なき食卓・未来ある食卓”と題され、参加者は17人でした。講師はコモンズ代表、アジア太平洋資料センター共同代表でジャーナリストの大江正章氏、司会(コーディネーター)はA SEED JAPANの鈴木亮氏で、第1部の大江氏の講演後、第2部ワークショップとして鈴木氏の司会でアースデイ東京2015の方向性が検討されました。


勉強会「食」第1回
「食問題のWhat’s Next? 改めて問う、未来なき食卓・未来ある食卓」

開催日:2015年1月23日(金)
講師:大江正章氏さん(コモンズ代表、アジア太平洋資料センター共同代表、ジャーナリスト)


◆第1部 講演◆

大江氏は、次のような流れで講演されました。
1 食と農にまつわる現状の基礎的整理
2 有機農業の広がり
3 有機農業の広がりと企業・商業
今後の「食」の勉強会参加者のために、共有しておきたい「1 食と農にまつわる現状の基礎的整理」の概要をレポートします。

1 食と農にまつわる現状の基礎的整理

①やせ細る農業
1961年に農業基本法が成立し、国策として1000万円の所得を得る農業、いわゆる「8ケタ農業」の実現を目的に「選択的拡大」が提言されました。トマト・レタス・キャベツなどに特化した農業、ウシなら70~80頭、ニワトリなら2万羽以上を飼育する畜産業が奨励されました。
それまでは、ウシ1頭ないし2頭、ニワトリ20羽、そして農業を行う有畜複合農業で、ほぼ循環型の農業でした。1960年代には、寒冷地を除き、麦と米の二毛作が行われていて、麦を刈り取ってから畑に水を入れ稲作を行ったので、田植えは6月ころだったそうです。現在、田植えはゴールデンウィークに行われていますが、それは人間の都合に合わせたからとのこと。苗としては、6月であれば成苗を使用できますが、5月なので、成育が不十分な稚苗を使わなければならず、その結果、病気になりやすく、農薬を使わざるをえなくなったそうです。
大江氏の示したデータは下記のとおりです。

農業総産出額  8兆4668億円(2013年) ピーク11兆7171億円(1984年)
農 家 戸 数  253万戸(2010年)    ピーク618万戸(1950年)
耕 地 面 積  452万ha(2014年)   ピーク609万ha(1961年)
食料 自給率   39%(2013年)     1961年度は79%

農家の平均所得は476万円で、そのなかには兼業収入と年金収入も含まれています。農業収入に限ると135万円だそうです。4,5年前、コメ農家の時給は179円と計算されました。1961年、コメの消費量は国民1人あたり年117kgでしたが、現在は年57kgに減ったことが関連しています。コメの減少に伴い、肉類・畜産物、油脂が増えています。

②消費者の4類型
安全性と価格を天秤にかけ、安全性が安価より勝れば、日本の農業は衰退しないはずですが、現状はそうではありません。大江氏は、徳野貞雄氏による消費者の4類型を示しました(『農村の幸せ、都会の幸せ――家族・食・暮らし』2007)。4類型とは、金を払う・払わないを横軸に、農産物の価値がわかる・わからないを縦軸にとり、4つに分けたものです。期待される消費者層は、農業の価値がわかる、つまり、国内の農産物に対し再生産できるようにお金を支払う人々で、5.4%にすぎません。健康志向型消費者層は、食の安全性に強い関心をもち、農産物の価値はわからない、つまり海外の有機農産物を購入してしまう人々で、16.5%を占めています。52.4%を占める分裂型消費者層は、意識と行動が分離して、風評被害を起こしやすいといわれています。いまだ、福島、茨城・栃木の農産物を敬遠する人がいて、若い人ばかりでなく、年配者も含まれているそうです。

③増田レポートと新自由主義者たちの戦略
増田レポートは、2040年には20~39歳の女性が減少するために4割の市町村が消滅すると予想しています。次のような国家戦略が立てられています。
・TPP参加により経済構造の刷新――家族農業不要、企業参入(土地を農民から資本へ)、農協攻撃
・道州制の導入により統治機構の刷新――農村自治体不要
・オリンピック国家戦略特区による国際都市化――農村空間不要
大江氏は、救いとして、増田レポートは2010年のデータを使用して、2011年3.11以降の動向が含まれていないことをあげています。この2011年以降、農山村への人々の移動が増加し、島根県などでは中山間地や離島への移住が増加しているそうです。国際的には、2014年が“国際家族農業年”でした。2015年は、“国際土壌年”です。国家戦略特区については、先進国で特区を設置するのは例がないそうです。ただ、例外はあって、韓国が経済自由区域を設定しましたが、全くの失敗だったとのこと。

④希望として非農家出身の新規就農者の増加
新規就農者の総数は、2010年1730人、2011年2100人、2012年3010人、2013年2900人と、1990年代からほぼ漸増しています。49歳以下の人は、940人、1180人、2170人、2050人です。30年前の66人と比べると、約50倍にもなっていて,そこに希望があるとのこと。農業に関連して増加しているのは直売所と市民農園です。直売所の増加は、適正な物・安全な物を求める消費行動の現れですし、市民農園の増加は農に関心をもつ人が増えたことを示していて、そういう意味で望ましい傾向といえます。

2 有機農業の広がり

(1) 有機農業こそ持続可能な「強い」農業
(2) オーガニック市のモデル・オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村(名古屋市)の4つの意義
(3) オーガニックフェスタの意義と課題

3 有機農業の広がりと企業・商業

(1) 企業版CSA(埼玉県小川町下里地区)
(2) スーパーへの展開
(3) 地域の食品関連小中企業との連携
(4) レストランとの連携

 

◆第2部 ワークショップ◆

鈴木氏の司会のもと、数人に分かれて、アースデイ東京2014年の反省も含め、今後の在り方を検討しました。来場者の食に対する期待感を大事にしたいという意見が出ました。大江氏のテーマ、「遠くのオーガニックではなく、近場の減農薬食材」、「食」と「農」の解離をどのようにして解決するのか、ということも提示していただきました。今年のアースデイ東京2015キッチンでは、例えば、「フェス」メニューではなく、納豆丼、卵かけ丼、おむすびといった日本の私たちにとって身近なメニューで、有機栽培、自然栽培等、生産者が手間暇かけて作った食材、調味料で素材そのものを味わう場を作るなど、前向きに実現するためのアイデアを出し合って終了しました。

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