アースデイ東京2003 Love & Peace
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 僕は1月21日に横浜を出て昨日帰ってきたんです。小説を書くため、中国大陸からベトナム、インドネシア、オーストラリア、パラオ、サイパンなど、38日間ずっと船で回りました。5年前にも同じルートを通ったけど、今回、僕は深くショックを受けた。例えば、ベトナム戦争が終わって何十年もたったのに、ホーチミンの川は吐き気がするくらい臭いし、すずめはほとんどいないし、何時間もサイゴン川を旅しても白鷺一羽しか見ていない。本当にアジアの国はゴミだらけ。バリからハイナンから、どこへ行っても。なんでアジア人はこんなに平気でゴミを海に流すのか。ひどいですよ。"I'm Asian,too." 私は日本人です(註1)。それに誇りをもっているけど、自分の住んでいる環境をスラム化すると心までスラムになります。治安が悪い、泥棒が多すぎる、アジアはどうにかしないとダメ。僕は日本に帰ってくるとまずホッとする。このアジアを変える国は日本しかないと思ってます。そのためには何を考えればいいか?

 僕は人の前に出る時は必ずこの亀をつけてるんです。これは僕の心のお父さん「どろ亀先生」(註2)が僕につけてくれたもの。何故か? 僕は格闘技が大好きです。喧嘩は嫌いだけど、闘いのために生まれた人間、その遺伝子があるんです。じゃあ、何のために闘うか? 自分より弱い者を守るためでしょう。喰うためじゃないんです。自分より弱いものが愛しい、守りたい、そうすると自分の環境をよくしようとする。どろ亀先生が僕にこれをつけた時、怒りが爆発する前に(この亀を)なぜなぜして、ゆっくり考えて、わしの事を思い出せと言った。僕はどろ亀先生の哲学を考えない時はない。彼の哲学は、いいものを残して育てる哲学。虫でも「さん」づけです。「アリさん」。

 人間がてっぺんに立ってると思うのは大まちがい。自然を尊敬しながら、守りながら、自分がその一部である、いいものを残す。でも今のアジアは、いいものを潰して、切って、盗って、売って……そんなアジアにいつからなったのかわからないけど。いくつかの文明が滅びた頃から悪い遺伝子があるんじゃないかな。僕が言ってる事はなかなか人に通じない。けど、わが地球はひどい状態になってますよ。太平洋では、海鳥はうんと北極まで行かないといないです。ダイオキシンやプラスチックの便利な世界を求めてる国は、あと100年以下で絶滅でしょう。本当に海は汚れているし、生物はいないし、人間は信用できないです。本当に目覚めて話し合って自分の子供、孫に、何が大事か考えないと、もうダメです。

 僕、本当は人前に出たくないです。森と大自然の中で自分の武道を磨きたいです。しかし、アースデイに出たら、ステキな人達、自分勝手ではない人達が一生懸命行動してるのよ。一生懸命やろうとしている。その行動は小さいけれど、僕は全部愛しくてしょうがないんです。僕はこの人達が大好きです。「俺だけは偉いんだ」と思っているような人間は、全部殺したいんだ、本当は(笑) そうするといろいろ解決できるでしょうけど……今、僕のマネージャーが困ってますね(笑)

 アースデイはまず来て! 来ていろんな人と話し合ってみて。エネルギーはどうするのか。安心な食べ物と水はどうするのか? 飲み水ないんだぜ。もう足りないよ。日本は環境を放置するんじゃなくて、自分は環境の一部であると意識してください。"Please Come!" 僕は親分みたいですけど、本当は用心棒です(笑)

(2003年 2月27日 えびす縄で行われたアースデイ2003プレス発表会にて)

(註1)C.W.ニコル氏は、1995年7月、日本国籍を取得した。
(註2)高橋延清(たかはし・のぶきよ)氏──東大名誉教授で森林研究の世界的権威。東大農学部林学科を卒業後、東大農学部付属北海道演習林(富良野市)に勤務し、教壇には一度も立つことはなく、泥まみれになって歩く姿から「どろ亀さん」の愛称で親しまれていた。1月30日逝去。享年87歳。
 
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