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アースデイ東京2017・先どりインタビューvol,2! 「パワーシフトで地域も変わる!」

 

4月22・23日に開催される「アースデイ東京2017」では、さまざまな企画が予定されています。その一部をいち早く紹介するとともに、運営にかかわる人の想いを伝えます。

今回は、「パワーシフト・マルシェ」について、国際環境NGO FoE Japan(http://www.foejapan.org/)のエネルギー担当・吉田明子さんにうかがいました。

●FoE Japanが企画している「パワーシフト・マルシェ」について教えてください。

 

昨年に引き続き「パワーシフト・マルシェ」では、再生可能エネルギーを選ぼうと呼びかけて、再生可能エネルギーや地域とのつながりを重視した電力会社を紹介していきます。電力会社の人も参加するので、直接お話を聞くこともできます。ネットの情報だけだと、どの電力会社を選んでいいのか迷うこともありますよね。どういう社会をつくりたくて電力会社を始めたのか、その会社のビジョンや苦労していることなどを聞くこともすごく大切だと思っています。

実は、電力会社の人にとっても、消費者の声を直接聞ける場は貴重なのです。私たちはこういう活動をしているので、環境に関心が高くて、再生エネルギーを選びたい人がいることは分かっていますが、電力会社の人たちは必ずしもそうではありません。「本当に環境や持続可能性で選んでくれるのかな」と不安に思っています。せっかくいいビジョンがあっても、つい価格をアピールしてしまいがち。だから、持続可能なエネルギーを求める人とビジョンのある電力会社が出会える場として、このエリアをつくりたいなと思っています。

パワーシフト・マルシェでは応援している電力会社の一覧も見られますし、もしわからないことがあれば、スタッフに聞いていただければ、一覧に掲載している電力会社以外でも紹介できるところがあるかもしれません。

 

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●FoE Japanが事務局となっている「パワーシフト・キャンペーン」(http://power-shift.org/)は、2015年3月に始まったそうですが、きっかけは何だったのでしょうか?

 

3・11後、原発政策を変えなくてはいけないと、環境団体、脱原発の団体、国際協力団体、消費者団体など、幅広い分野の団体や個人が集まって「eシフト」というネットワークをつくったんです。最初は、エネルギー政策にどうやって市民の声を届けるのかという観点で活動していました。それは一定の効果もあげていたのですが、2012年の総選挙で自民党が与党になってからは、集まった国民の声はまったく無視されてしまいました。いまの日本のエネルギー政策では、原発をベースロード電源にしていくとされています。

そこで、2016年4月から電力小売全面自由化が始まるので、それを機会に使えないかと考えました。福島での原発事故後、原発の電力を使いたくないという人はたくさんいました。北欧やドイツでは再生可能エネルギーを重視する電力会社を選ぶ人が増えていましたが、その当時の日本では選ぶことができませんでした。ようやく私たち市民が電力会社を選べる、直接的に電気料金の支払い先を変えられるようになったんです。

でも、電力自由化はいいことばかりではなく、価格競争も招きます。それによって石炭火力や原発をつかった電力会社への流れが起きてしまう危険性もある。ドイツでも例えば原発の電気を安く売る電力会社も出てきています。電力自由化は、チャンスだけでなく、ピンチでもある。だから、安さだけではない選択をしようと訴えていく必要がありました。そこで、2015年3月にパワーシフト・キャンペーンがキックオフしたのです。

 

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(2016年10月5日に行われたトークイベントの様子:レポートはこちら

 

 

●キャンペーンでは、具体的にどんな活動をしているのでしょうか?

 

ひとつは政策へのはたらきかけです。いろいろな制度変更がありますが、消費者が不利にならないように、それから再生可能エネルギーを重視する電力会社が不利にならないように提言しています。もうひとつは、再生可能エネルギーや地域のつながりを重視する電力会社を紹介して、そういうところを選ぶ人を増やすことです。今後は、そうした電力会社を選んだ企業、つまりパワーシフトした企業も積極的に紹介していきたいと思っています。

去年は電力自由化が始まったばかりで、アースデイのお客さんでも知っている人が半分くらいでした。メディアでも去年は話題にしていましたが、いまはあまり聞かないですよね。実は、去年の時点では再生可能エネルギーを重視する電力会社の多くは、まだ準備中でした。選択肢が増えてきたのは、2016年の秋頃からです。そういう意味では、再生可能エネルギーを重視するなら、いまが電力会社の切り替えどき。アースデイに来る方の選択はまさにこれからだと思います。

 

 

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「パワーシフト・キャンペーン」のサイトでは、パワーシフトした団体や個人の体験談も紹介(写真は「いとしまシェアハウス」)

 

 

 

●「希望ある『エネルギー』を創ろう!」は、アースデイ東京2017のテーマのひとつですが、吉田さんにとって、「希望あるエネルギー」とはどういうイメージでしょうか?

 

今までのエネルギーは、「遠くから運ばれてくる見えないもの」でした。さらに、原子力にしても、化石燃料にしても、生活や地球環境に負荷を与える、歪みのあるものだったと思います。将来的に実現したい「希望のあるエネルギー」というのは、地域も、地球も、かかわる人も、みんなが幸せになれるエネルギーの使い方ではないでしょうか。それにはもちろん省エネルギーも含みます。

私は、電力は「ツール」だと思っています。たとえば地域や市民とのつながりを重視する電力会社を選ぶことで、お金が地域にまわるようにもなる。再生可能エネルギーが広がるだけではなく、お金が地域にまわり、地域のサービスや雇用にプラスになるような影響が生まれるかもしれない。そういう可能性が電力事業にはあると感じています。

電力自由化によって、大きな電力会社に「お任せ」するしかなかったエネルギーを、より近い、顔のみえる電力会社から買うことができるようになりました。電気代を払っていない人はほとんどいませんよね。オフグリッドを目指すのも一つの方法ですが、「パワーシフト」はそれまでの間に、今すぐにもできること。ぜひ、みなさんの電気代を「パワーシフト」してほしいと思います。

 

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●吉田さんにとって、「アースデイ東京」はどんな場でしょうか?

 

私がアースデイに初めて参加したのは2003 年でした。まだ、FoE Japanでインターンをしていたときです。これまでに何回も参加してきましたが、アースデイは私にとって、いろいろな分野で活動している人たちとの情報交換の機会になっています。また、のべ12万人も参加するイベントはなかなかないので、出展側としてもすごくいいアピールになります。

今回も、「パワーシフト・キャンペーン」をアピールするだけでなく、いっしょにやっていく仲間探しの場としても、アースデイには期待しています。学生さんにもぜひ来てほしい。いろいろな人に出会える場として遊びに来てほしいなと思っています。

 

アースデイ東京2017開催します!