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【先どりインタビュー】 モバイルハウスやCoビレッジが集結! 世界をめぐって気づいた新しい暮らし方(REVorg 鯉谷ヨシヒロさん)

4月21日(土)、22日(日)に代々木公園で開催される「アースデイ東京2018」では、さまざまな企画・出展が予定されています。

今回、紹介するのは、「Co-Reビレッジ」エリア。アースデイ東京に、最先端の暮らしが体験できる「村」が出現します。「Co-Reビレッジ」の企画を行うREVorg(レヴォーグ)の鯉谷ヨシヒロさんにお話をうかがいました。

プロフィール

鯉谷ヨシヒロ(こいたに・よしひろ)

大学卒業後、就職活動をせずに旅へ。グアテマラにて遊牧民のように馬3020人でサバイブ。定住しない、移動するNPO法人ノマドコミュニティ「NomadsUnited」を共同企画。株式会社REVorg 代表。メキシコ在住13年。渋谷、熊本、メキシコ3拠点生活。通年旅人として先住民族と巡礼、エコビレッジ、ヒッピー思想に影響を受け、生きる本質と意識の存在を理解する。クリエイターの生活共同体「Coビレッジ」の宿泊・体験プログラムを提供するプラットフォーム「NuMundo Japan」(http://numundo.org)運営。グアテマラにて、マヤ先住民とサイトランスのフェス「Cosmic Convergence Festival」の共同企画。 

 

「テクノロジー×コミュニティ」で実現するもの

 

アースデイ東京2018で、REVorgが企画している「Co-Reビレッジ」のエリアについて教えてください。

 

Co-Reビレッジ」のテーマは、テクノロジーとコミュニティを通じて新しい暮らしを紹介していくこと。エリアの中央に大きなテントをたて、そのまわりを5台ほどのモバイルハウスが囲みます。実際にモバイルハウスを見て、体験してもらうことができます。

 

モバイルハウスは、トラックの荷台部分を住居にした「移動可能な家」です。たとえば街全体を自分の家だととらえたら、リビングは街のカフェでいいし、書斎は本屋でいいかもしれない。そうすると、自分だけのものは少しで済むので、モバイルハウスのように寝室が一畳くらいでも足りる。足りないものは周りに頼ればいいのです。すごくシェアリングエコノミー的な考え方ですよね。

 

 

――アメリカではリーマンショックを機にモバイルハウスが広がったそうですが、最近は日本でも注目され始めていますね。実物が見られる機会は少ないので楽しみです。

 

ほかにも、京都や福島、箱根などから「Coビレッジ」の人たちが参加して、トークイベントも行います。Coビレッジは、エコビレッジやパーマカルチャーセンターのような新しい暮らし方を実践している生活共同体の総称ですが、持続可能でホリスティックな暮らしを送るコミュニティが世界各地にある。そこには、多くのお金をかけることなく、地球の環境危機と正面から向き合うための知恵に溢れています。

 

REVorgが運営するネットワーク「NuMundo Japan」(http://numundo.org)では、国内外の「Coビレッジ」のつなぎ役になる活動をしていて、サイトを通じて世界各地のCoビレッジを探し、宿泊やリトリートへの参加を予約することができます。こうした活動についてもブースを出して紹介します。

 

移動できるモバイルハウスとシェアハウス、Coビレッジなどがつながれば、いろいろなところに自分の場所ができて、仲間のネットワークが広がっていく。そういう新しい暮らし方の可能性を感じてもらえればと思います。

 

 

――ほかにもユニークな出展団体が予定されていますね。

 

たとえば出展団体のひとつ、株式会社プランティオさんは、AIとIoTを活用した都市型農園のシステムとハードウェアを開発しています。園芸に使う「プランター」ってありますよね。いまは当たり前のように聞く名称ですが、プランターを日本で初めてつくって特許をとった会社の3代目がやっている事業です。

 

プランターに土壌や外気などを測るセンサーやカメラがついていて、そのデータをもとに栽培方法のアドバイスがアプリで通知されます。ユーザー同士がつながり、世界中でこのプランターを使う人が増えるほど、データも増えてプランター自身が学習・進化していきます。誰もが個人ファーマーになれて、野菜を育てるお店とかグループとか個人同士がネットワークでつながっていく。そうしたアプリやプランターを展示します。

 

 

あと、中央のテントでは、Coビレッジやモバイルハウスについてのトークイベントなども行うのですが、ソーシャルフェスデザイナーの雨宮優さんによる、”無“音楽体験「サイレントフェス」も開催します。サイレントフェスは、専用のワイヤレスヘッドホンを参加者全員が装着して、DJライブをオンタイムで共有するものです。

 

 

――海外での「サイレントディスコ」の映像を見たことがありますが、ヘッドホンをしているのでみんなが無音で踊っているように見えて、ちょっと不思議な光景でした。

 

ハイテクなものから、モバイルハウスのようなものまで、いまは新しいテクノロジーがさまざま出てきています。テクノロジーによって人の意識は変わっていくし、そうやって人の意識が変わることで社会も変わっていくんだと思います。

 

「お金のため」「仕方なく」ではない生き方

 

――ところで、「Co-Reビレッジ」の企画をしているREVorgは、普段どんな活動をしている会社なのでしょうか。

 

REVorgのヴィジョンは「生きる本質をデザインする」です。僕自身は、大学を卒業してからずっと旅に出ていて、13年ほどメキシコに住んでいました。馬に乗って旅をしたり、写真家として活動したりしていたんです。そうした旅のなかで、都市の生活でも、田舎の生活でもない、まったくオルタナティブな生き方をしている人にいっぱい出会ったんですよね。それがヒッピーだった。

 

 

ヒッピーの人たちは同じ価値観をもっていて、基本的にみんな家族として助け合います。そういう人たちが世界中に何百万人といて、旅をして助け合いながら暮らしているんです。お金だけが先走ってグルグルまわっているような社会のなかで、人間らしい生き方を取り戻そうと模索してきたのがヒッピーです。ムーブメントが始まった45年ほど前のヒッピーと、いまのヒッピーとはまったく同じではないですけど、思想はいまも受け継がれています。

 

そういう人たちに出会って気づいたのは、助け合うことで経済的なライフコストをかけずに生きていけるということ。世の中には、「お金のため」とか、「生きていくために仕方ない」とか、「〇〇をしなければならない」という価値観で働いている人が多い。でも、そうじゃない暮らし方もある。そういう価値観や場所をつくっていこうというのがREVorgのビジョンです。

 

 

――鯉谷さんは「ソーシャルヒッピー」と名乗ってもいますが、世界を旅するようになったきっかけは何だったのですか。

 

旅に出たのは、就職活動がきっかけでした。画家になるとか、ミュージシャンになるとか言っていた周りの人たちが、髪を切って、スーツ着て、マニュアル本読んで、就活を始めていて。「なにそれ? それが人生でいちばんやりたいことなの?」って思ったんですよ。みんな「本当はそうじゃない」って思っているのに、一生懸命に就活をしている。そのことに違和感があった。結局、僕は就職活動をしないまま大学を卒業しました。

 

僕の時代は、卒業したら就職するのが当たり前だったんです。まわりが社会人になって初任給をもらうなかで、僕だけ無職でいることが、後ろめたかった時期もありますよ。「ブラブラしていて大丈夫なの?」って聞かれたりして。でも、5年、10年経ってみたら、好きなことで暮らしていけているし、時間の余裕もある。就活への違和感が、いまの活動にもつながっています。だから、もっとオルタナティブな暮らしがあることを伝えていきたい。ヒッピー的な価値観を広めていく役割としての「ソーシャルヒッピー」なんです。

 

 

全員ヒッピーになったらいいと全然思わないけど、近い部分、共感できる部分で変えていけたらいい。REVorgがグアテマラで開催しているリトリートには、大企業の社員も参加しています。メインストリームの意識を変えていかないと、社会は変わらないからです。

 

テクノロジーでヒッピー的な暮らしが可能に

 

――今回の企画では、「テクノロジー×コミュニティ」がテーマですが、そうしたオルタナティブな暮らしを実現するのに、「テクノロジー」は大きな鍵になりそうですね。

 

たとえばヒッピーって、iPhoneとかFacebookみたいなことをずっとやってきたんですよ。世界中に旅しているヒッピーがいて、どこへ行っても誰かが助けてくれる。めしも食わせてくれるし、人を紹介してくれたり、仕事もくれたりする。世界中に移動するネットワークがある。

 

世界各地で出会って話して、それぞれがまた移動していくから、口コミで情報があっという間に世界中をまわるんですよね。もうなんか、インターネットみたいになってる(笑)。友達になるスピード感も速くて、ちょっと共通点があったらすぐつながりが広がって、それもFacebookと同じ。いまは、テクノロジーのほうがヒッピーぽくなってきている気がします。

 

 

いろいろなテクノロジーが発達していくことで、よりヒッピー的な暮らしが可能になります。オフィスにいなくても仕事ができる人も増えているので、地方に多拠点のベースをもつこともできる。いま僕はSibuyaCastビルの13階にあるCoビレッジ「CIFT」(http:/cift.co)(※)に住んでいますけど、本当は都会の家賃の高いところに住むより、地方の庭付きの広い家のほうが安いし、畑で食べ物だって育てられる。仲間といっしょに住むことで子育てもみんなで助け合えて、ライフコストも下がるから、そんなに働かなくてもいい。そうしたら、もっと家族と過ごすとか、好きなことをする時間ができますよね。今回の企画では、「テクノロジー」と「コミュニティ」をキーワードに、そんな暮らし方への導線を考えたいです。

 

(※)作業やミーティングができる共同スペースやキッチンダイニングを設けたビルのワンフロア19室に、クリエイティブなメンバーが集まって暮らす実験的なアパートメント


――ありがとうございます。最後にあらためて、今回の企画についてのメッセージをお願いします。

 

世界中のフェスを見てきましたけど、お金とか関係なく、みんながビジョンを共有して、やりたいことをやるために集まるというのが何より大事。そういう場を、今回の企画でも実現したい。ヴィジョンを伝えるためのビジュアルも大事だと思っているので、そこも注目してほしいです。

 

新しいテクノロジーを使い、ビジョンをもった暮らしを実践している人の声を伝えたいし、それが体験できる場をつくります。「こうあるべきだ」と口で言うだけなくて、やっぱり実践していかないと意味がない。

 

アースデイ東京2018のなかでも、このエリアは楽しいと思いますよ。遊び人ばっかりが集まるんで(笑)。年一回のアースデイというお祭りで、いちばん盛り上がる場所にしたい。最先端の暮らしが集まる「村」で、家族感、仲間感みたいなものを感じてもらえたらと思います。

 

 

〈参加企画〉

「Co-Reビレッジ」

(企画/REVorg 出展団体/麻柄ドーム、プランティオ株式会社、Dandelion Chocolate Japan 株式会社、SAMPO.Inc、Ozone合同会社)

 

「モバイルビレッジ」(企画/モバイルビレッジ)

 

「脳」から見る世界平和 (企画/一般社団法人 楽読ジャパン&ハコネエコビレッジ)

 

「すべてのいのちが輝く社会づくり」(企画/Dana Village)

 

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