知る・学ぶ

「ひとつの地球に住む人間として……」 世界最高の環境ジャーナリスト、ビル・マッキベンのメッセージ

アースデイ東京2018のオープニングアクトでは、世界的ベストセラーとなった『ディープ・エコノミー』『人間の終焉』の著者であり、米タイム誌で「世界最高の環境ジャーナリスト」に選ばれたビル・マッキベンが登壇しました。

ビル・マッキベンは、2008年に気候変動を防止する運動を世界に広げるための国際的組織「350.org」を設立。2012年からは、新たな気候変動対策として化石燃料への投資撤退を行う「ダイベストメント」キャンペーンを国際的に展開しています。

4月21日(土)のオープニングアクトで語られたメッセージをシェアします。

 

 

50年前、有名な「アースライズ」の写真を見たとき、多くの人が地球は美しいものだと知りました。みんながこの美しい惑星を守らなくてはと思ったのです。でも、それは嘘でした。私たちは地球をちゃんと守ってきませんでした。50年経って、私は大きく変わりました。白髪にもなって年をとりました。それは当たり前で普通のことです。ですが、地球が大きく変わったのは、当たり前でも普通のことでもありません。

 

地球を宇宙から見ると、北極の海氷は半分なくなってしまっています。オーストラリアのグレートバリアリーフを見ると、サンゴ礁地帯の半分が死んでしまっています。砂漠も非常に広がっています。世界中で山火事が起きています。毎週のように、科学者たちは地球で起きている大きな変化についてさまざまな発表をします。海面上昇も加速していて、南太平洋の島国から人々は家を追われています。気候変動は、人類が起こした最も大きな現象だと私は思います。

 

アースデイでの「グッドニュース」は、これからどうすればいいのかを私たちは知っている、ということです。私たちは石油、石炭、ガスを使わないようにしなければいけません。これは可能なことです。太陽光、風力などさまざまな自然エネルギーはいま安くなっているからです。この自然エネルギー社会へのトランジションをさらに加速しなければなりません。

 

気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書が決まったのは、もう20年も前のことです。気候変動に対してアクションを起こさなくてはいけないなかで、日本が国内でも石炭火力発電所を建てようとしていることは間違っていると思います。日本は、自然エネルギー社会に向けてリーダーになることができます。そして日本の大きな役目は、気候変動問題を引き起こしている化石燃料産業へのお金の流れを止めることです。気候変動という「火事」は、お金という「酸素」が起こしているものなのです。

 

みなさんに知ってほしいのは、世界的に広がっている「ダイベストメント」というムーブメントのことです。ダイベストメントは、気候変動問題を引き起こす化石燃料産業から資金を引き揚げること。アメリカで始まり、その後ヨーロッパ、オーストラリアへとムーブメントは広がりました。そして、さまざまな人が参加しています。俳優のレオナルド・ディカプリオもその一人です。イギリスのオックスフォード大学も、アメリカ・カリフォルニア州のスタンフォード大学もダイベストメントに参加しています。日本に次いで世界2番目に規模が大きなノルウェーの政府年金基金も、化石燃料産業から資金を引き揚げています。

 

世界の大都市、たとえばロンドンもダイベストメントを発表しました。パリも化石燃料産業から資金を引き揚げました。そして今年1月、ニューヨーク市は市管理の年金基金で20兆円ほどのダイベストメントを進めることを発表しています。ロンドンも、パリも、ニューヨークもダイベストメントをしているのに、そのリストに含まれていないのはどの都市でしょうか? 東京も、このムーブメントに参加するべきだと思っています。

 

350.org Japanでは、ダイベストメントのムーブメントを日本で広げるために署名活動をしています。日本の三大メガバンクは、世界中で化石燃料、石炭火力発電所の開発にお金を投じています。日本の大手銀行は、未来ではなく、過去のエネルギーに投資しているのです。どう変化していくべきなのか、みなさんから声を上げる必要があります。いま必要な行動は、自分の預け先の銀行をちゃんと選ぶことです。

 

世界各地の人々が、気候変動問題に対して行動しています。カナダでは、巨大な石油パイプを止めるために闘っている人がいます。オーストラリアでは巨大な石炭炭鉱の建設を止めるために人々が立ち上がっています。もっとも気候変動に対する闘いに参加しているのは、もっとも脆弱な国々の人たちです。それは南太平洋の島国に住む人々です。私たちの役目は地球上すべての人々とうまく協力していくことではないでしょうか。

 

私たちはひとつの地球に住む人間です。日本が石炭火力発電所を建てれば、気候変動問題を悪化させてしまいます。私の国、アメリカで化石燃料関連の発電所ができれば、全世界の人々に被害を及ぼしてしまうのです。これから重要となるのは、私たち全員がそれぞれに住んでいる場所でアクションを起こすことです。そして、覚えておいてほしいのは、私たちがひとつの地球に住んでいること、それを守るために活動する必要があるということです。

 

どうもありがとうございました。ハッピー・アースデイ!

【お知らせ】

著名活動へのご協力をお願いします!!

3大メガバンクに私たちのお金を環境破壊を引き起こす石炭火力に使わないで、責任のある銀行業務を行うよう求める署名にお陰様で、なんと8千人近く賛同者が集まっております。
さて、目前に迫りました今月末に開催される3大メガバンクの株主総会までに、【10,000人】の署名を目指しています。多くの方々にこのムーブメントに参加していただくことで、金融界へ大きなインパクトを与えるチャンスです!
最後のワンプッシュとして、友人やご家族にこの署名を共有していただけないでしょうか?
一人でも多くの声を銀行CEOに届けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

350Japanの署名ページは以下のリンクからアクセスできます:
http://world.350.org/ja/divest_from_coal_ja/ 

CHANGEの署名ページは以下のリンク先からアクセスできます:
https://www.change.org/lets_stop_coal

署名の締切は6月22日にさせていただき、6月25日に各銀行に皆様を代表して提出いたします。

引き続きご支援・ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします!