お知らせ 更新: 2018.05.09

【アースデイ東京2018レポート】 小中高生がアースデー東京のブースを企画! 「どうしたらSDGsが“自分ごと”になる?」

4月21日、22日に開催されたアースデイ東京2018。メインステージの近くに、ひと際元気のいいブースがありました。それは、学校の枠を越えて集まった小中高生が自分たちで企画から運営までを行った「SDGs for School ×アースデイカフェ 」です。

メンバーは、持続可能な社会をつくるために「自分たちで何かやりたい」という思いで集まった小学6年生から高校3年生(※2018年3月時点)。計13校から50名以上が参加しました。

 

晴天に恵まれた2日間、初日からたくさんの人がブースを訪れた

「世界に溢れている問題はたくさんありますが、私たちには関係ないことなのでしょうか。自分たちの問題として、自分にも何かできると考えてもらえるきっかけにしたい」

これは、3月11日に行ったアースデイ東京の記者発表で、壇上にあがった学生たちの言葉です。

「ピースオンアース」での記者発表では、企画についてメンバーが発表

昨年から2週間に一回のペースで、放課後に集まっては準備を進めてきたメンバーたち。

「どんな企画をしたらSDGsに関心を持ってもらえるか」という話し合いから、企業やNPO団体などへの協力のお願い、ブースのレイアウトまで、開催日のぎりぎり直前まで活発なアイデア出しと作業が続きました。

ときには予定通りにいかないことも……。ギリギリまで熱心に準備を続けた

当日のブースでは、オーガニックコットン・バッグの販売、会場内のさまざまな出展者をめぐりながらSDGsが掲げる17のゴールについて知るスタンプラリーの実施、環境や働く人に配慮した商品の展示、さらに、さまざまな分野で活躍する人を招いて学生とのトークイベントなどを行いました。初日からたくさんの人が訪れて、オーガニックコットン・バッグは450枚以上を販売。スタンプラリーの景品として用意したオリジナルSDGsバッジも、2日間ですべてなくなったそうです。

嬉しいことに、ブースを訪れた高校性からは「次は、私たちも一緒に活動したい!」と言う声もありました。

オーガニックコットン・バッグとオリジナルバッジ。SDGsのスタンプは手作り

今回、年齢も学校も越えて学生たちが集まるきっかけになったのは、一般社団法人「Think the Earth」のメンバーで、都立武蔵高等学校・附属中学校の生物教諭である山藤旅聞さんが、学校を超えて月2回ほど行ってきたSDGs教育の「出前授業」でした。この企画は、SDGs達成に向けた学生たちの活動を支援する「Think the Earth」のプロジェクト「SDGs for School」との協力で実現したものです。

アースデイ東京2018の開催前、「SDGsを窓にして、生徒たちに社会問題を知ってほしい」と活動してきた山藤さんに、このプロジェクトやSDGs教育について伺いました。その内容を紹介します。

 

 

――今回の「SDGs for School×アースデイカフェ」(以下、アースデイカフェ)には、小学校から高校まで10校以上の生徒が参加しています。未来を担う世代がアースデイに参加することは、とても意義があることだと感じます。メンバーは山藤さんの「SDGs出前授業」を受けた生徒が多いそうですね。

 

そうですね。この1年間で30本以上、他校での出前授業をしてきました。小学校から高校、大学や企業でも行っています。授業ではSDGsとは何かという基本的なことを伝えたり、世界でなぜいまSDGsが注目されているのかなどを伝え、ワークショップ形式で自分にとって大切なSDGsのゴールを考えたり、身近な事例から「持続可能」とは言えないものは何かと探したりします。

「学校の学びと社会課題のつながりに気づいてほしい」と山藤旅聞さん

こうした授業を通じて、自分が意識していなかった消費行動が、実は世界課題に直結していることに気づくのです。そして、「じゃあ、それを知ったからには解決するためにどんな行動がとれるのかを考えてみませんか」と伝えています。今回、参加しているメンバーは、出前授業のときに「こういうプロジェクトがあるよ」と伝えて、自分からやりたいと手を挙げてくれた生徒たちです。

 

 ――学校も年齢もそれぞれ違う生徒たちですが、どのように準備を進めてきたのでしょうか?

 

 平日の放課後に、2週間に一度のペースで集まって、何をしたらSDGsを多くの人に知ってもらえるのか、そのためには何が必要なのかとミーティングを重ねてきました。企画書をつくって、企業への取材や協力のお願いにも行きました。企画は全部、生徒たちが話し合って決めたこと。僕はまったくのノータッチです。

もちろん大人が最初に連絡したほうがいい場合などはサポートしますが、それ以外はできるだけ見守ることに徹します。生徒たちのアイデアに対して「それはちょっと無理なんじゃない?」とは言いません。生徒たちには大きな可能性があるし、大人の役割はそれを邪魔をしないことだからです。

学校も年齢も違うメンバーが集まって、議論しながら進めていく

 

――なるほど。子どもたちの可能性を「邪魔しない」のが大人の役割なんですね。そもそも山藤さんがSDGs教育に注目するようになった理由はなんだったのでしょうか?

 

僕は生物担当なのですが、生徒たちに授業で学ぶことと、現実的な社会課題とのつながりを意識してほしいと思ってきました。ただ、どうしても森林保全や生物多様性といった内容が中心になってしまい、生物分野に興味をもつ生徒以外へのアクセスができていないような気がしていました。そんななか、SDGsの17のゴールを表すデザインが出てきたんです。いろいろな問題が全部つながっていることがすごく見やすいデザインだと感じました。

生物の教科はあまり好きじゃないという生徒でも、17のゴールのなかに何か自分の興味ある分野を見つけます。そうした問題を突き詰めていくなかで、結果的に自然資本とか持続性といったことの大切さを知り、生物の教科で学んでいることとのかかわりが見えてくるんです。

僕がやっているのはSDGsそのものを教えることではなくて、SDGsを窓にして社会課題を知ってもらうこと。いま学んでいることと現実の社会課題がつながりに気づいて、その社会課題を解決するためのアクションをしてほしい。自分たちのアクションが、社会課題の解決にちゃんとつながっていくことをイメージしてほしいと思っています。

 

――そうした学びは、学校のテストや受験のための学びとは違うものですね。

 

試験や入試のために勉強するのは点数をとるためだから、全然面白くないですよね。僕自身が高校生の頃はそうでした。社会課題に触れて、大人たちと話すことで、「どうしてこういう社会になったんだろうか」と感じると、自分からすごく勉強するようになるんです。本当の学ぶ意義を感じとって、そこに面白さを感じるんだと思う。

アースデイカフェのようなプロジェクトに取り組む生徒たちを見ていると、自分たちのアクションが社会につながっているという実感があるから「もっともっとやりたい」という気持ちになっているのを感じます。そうなると、いままで興味のなかった社会や歴史が面白くなる。ちゃんと数学が解けたほうがいいと気づいたり、人に伝えるためには国語力も大事だなって思ったり。英語を武器にできれば、世界中に仲間を作れますよね。いままでは与えられて学ぶものだったのが、学びをつかみに行き始めるようになるんです。

 

 ――メンバーとして参加している高校生に話を聞いたら、「服が大好きだけど、ファストファッションを買わない」とか「(プラスチック容器の問題を知って)カップラーメンを1年間食べないと決めている」といった自分で決めたチャレンジにそれぞれ取り組んでいて、社会課題を「自分ごと」としてとらえていることが伝わってきました。

 

へえ、そうなんですね! そんなチャレンジをしているなんて、僕は全然知らなかったです。でも、生徒たちがフェアトレード商品を見つけてきて教えてくれるとか、関連する新聞記事を持ってきてくれることは頻繁にありますね。いままで無意識だったものが、意識されることの効果はすごく大きいです。

授業とかでボルネオ島でのプランテーションによる森林伐採の話をすることがあるんですけど、今年の文化祭で使った木材がまさにマレーシア産のものだってことに後から気づいたんですよね。そうしたら、文化祭が終わって捨てていた廃材を生徒10人くらいがごみ箱から回収してきたんです。「こんな身近にSDGsの課題があった」って。来年も責任もって使おうとアクションを起こしたんです。これは、まさにSDGsの12番のゴール「つくる責任 つかう責任」につながりますけど、生徒たちが自発的にどんどん動いていたのでびっくりしました。

当日のプログラム内容も生徒が主体で決めていった

 

――学んだことが、ちゃんとアクションにつながっているのがすごいです。

 

僕は学びを学校のなかだけの「ごっこ」にしたくないんです。テストのためだけにがんばっても、実際の社会と結びついていかない。だから、本物に触れてもらうことを何よりも大事にしています。今回のアースデイカフェのように、企業に取材に行って協力をお願いしたり、実行委員の人たちと話したり、大人とのかかわりをもつ機会をつくることを大事にしたい。

アースデイ東京以外でも、たとえばメーカーと協力して、持続可能な取り組みを伝えるパッケージデザインを考えてプレセンをするとか、生物の教科書デザインを考えて出版社に提案するとか、東京・檜原村での里山保全の活動など、なるべく社会にアクセスできる活動を増やしていくようにしています。

 

 ――SDGsの「出前授業」は企業でも行うことがあるそうですが、大人と子どもでは反応は違いますか。

 

やっぱり、大人は「わかってはいるけど…」と何かの理由をつけてブレーキをかけるのが得意だと感じるんです。中高生は、「アクションを起こしたい」、「社会を変えたい」という気持ちがすごく強い。それは若者ならではのエネルギーだし、素晴らしさだと思う。その背中を押してあげたいし、それができるのがSDGsのデザインです。正直言うと、ここまで多くの生徒が積極的に活動するとは思っていませんでした。僕自身が、生徒たちからすごく刺激を受けています。

 

――今回は、まさに「アースデイの未来」を象徴するような企画でしたね。アースデイの想いが次世代へとつながっていることを感じました。 貴重なお話をどうもありがとうございました。

【プロフィール】山藤旅聞(さんとう・りょぶん):東京都立武蔵高等学校・附属中学校 生物担当教諭。ブータン渡航をきっかけに、生徒が自ら疑問を生み出し、その解決のために行動していく力を引き出すことを目指した教育デザインに取り組む。ボルネオ島や東京・檜原村をフィールドに、課題解決に向けた行動者を育成する教育を実践。未来教育デザインConfeito共同設立者/一般社団法人Think the Earthコミュニケーター。

 

 

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